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LIVE REPORT

「地下に差す、光のような声」— ‘Can I Kick It?’で感じたnemneの現在地

  • 2025.04.22

三軒茶屋・GRAPEFRUIT MOONの地下にある小さなライブハウス。
そのステージに立ったのは、シンガーUKOさんによるソロプロジェクト・nemneさんでした。イベント“Can I Kick It?”は、MASSAN×BASHIRYとのツーマンという贅沢な一日。お昼の時間帯にもかかわらず、会場はゆっくりと、でも確かに、熱を帯びていきました。

nemneさんの歌は、地下の空間にふわりと光をともすような柔らかさがありました。
R&BやSOUL、ゴスペルといったブラックミュージックに根ざしたリズムの上に、ジャンルにとらわれない自由な感性が重なっていて、その音楽はとても自然体で、呼吸のようにすっと心に入り込んできます。

まだ観客が完全にあたたまっていない昼の時間帯に、nemneさんの声がゆっくりと火を灯すように場を包み、気づけば空間がひとつに溶け合っていました。その穏やかな高揚感がとても心地よくて、nemneさんの音楽の力を改めて感じる瞬間でした。

そしてこの日、印象的だったのが「Imperfect」という新曲の初披露です。
この楽曲は、これまでの彼女の作品の中でも珍しいバラード。抑えたトーンの中に宿る静かな情熱と、その声のニュアンスがとても繊細で、言葉では表せない感情をそっと照らしてくれるようでした。思わず呼吸を忘れてしまうような数分間。聴いている人それぞれの心の奥に、静かに届いていたのではないでしょうか。

終盤にはMASSAN×BASHIRYとのコラボレーションもあり、ジャンルや肩書きの枠を超えて、音楽が素直に響き合うセッションが繰り広げられました。音楽が持つ本来の自由さと楽しさを、あらためて思い出させてくれるような時間でした。

そしてこの日が特別だった理由のひとつに、新作リリースの予告もありました。
自由でクロスオーバーな表現を続けるnemneさんの新しい一歩が、まもなく音源としても届けられます。ライブで感じたあのやさしい揺らぎが、これからの季節にそっと寄り添ってくれるのが楽しみです。

2025.4.30 [wed] Digital Release
NEMNE Triple A-side Single『Imperfect / Have a good day / Pray for you』